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溺愛パンデミック

奇跡が消えないように 僕等が生きた証を ここに記そう

彼らが本気で編むときは、感想

感想

見てきました、生田斗真の「彼らが本気で編むときは、」。

 

久しぶりに、手放しで「最高だった!!」と言える映画を見た気がします。本当に。悩んでる人は是非見に行ってほしい映画です。この感動を早く書きたい伝えたい!!!と思ったら何日も経ってた。まとめるの難しい。

以下、ネタバレを含みます。まだ観ていない方等、ご承知おきください。

 

 

 

 

ひとつだけ、叫ばせてくれ。

生田斗真すっげぇ...すっげぇ…すっげぇ…

劇中、正直何度もリンコが生田斗真である事を忘れた。完全にリンコさんは女性だった。言葉遣いも仕草も、完璧にただの「女性」だった。

 

話はトモという小学5年生の女の子が、母親の弟、つまり叔父のマキオと諸事情で一緒に暮らすのですが、マキオの恋人であり同居人が生田斗真演じるリンコさん、所謂性別適合手術をした方(トランスジェンダー)というものです。

実は予告編を見たわけではなくて、この映画の存在は去年の夏のVBBで貰ったフライヤーで知りました。

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この時は、生田斗真綺麗だなあとしか思わなかったし、私自身もその周りにもLGBT関連の方が多いものですから、単純にそれだけで見に行きたかったのです。

だから、もっと重い話だと思っていたのだけど、映画の中身は全然そんなことなかった。

適度に笑えて、ちゃんと泣けた。

そんな素晴らしい映画は久しぶりに見た気がします。時系列がぐちゃぐちゃかもしれませんが、サラッと内容を含めて感想を。

 

映画の序盤において、同性愛者故にいじめられている男の子がトモちゃんのクラスに出てきます。トモちゃんは恐らく昔は彼と仲が良かったのでしょうが、いじめられっこだからか腫れ物に触るように「関わるな」感がすごい。なので、きっと初めてトモちゃんがリンコさんに出逢った時には、負の感情の方が大きかったと思うのです。

リンコさん、顔も美人だし声もおしとやかだし、お料理も完璧、仕草も完全に女性なのにやはり骨格が男。お母さんからコンビニのおにぎりしか与えられず、久しぶりに温かいご飯を作ってもらえて喜んだけど…というトモちゃんの戸惑いが見て取れます。初めて泊まりに来た夜、寝る前のシーツを2人で敷くシーンでのトモちゃんの気の抜けた「はぁ、」が最高にいい。

この時、トモちゃんはシーツを敷くリンコさんの服の胸元から谷間を見てしまい、少し動揺します。そんなトモちゃんにリンコさんが放った一言。(ニュアンスですが)「200ccずつ。触ってみる?」こりゃひどいwww思わず笑ったwww こんな明るい性格のリンコさん、きっと過去に沢山つらい経験をしてきたからなのですが、そのそばにはかなり強い味方がいたからこそ今も強く生きていると思うのです。

それは、リンコさんのお母さんのフミコさん。

老人ホームで働いているリンコさんが急に夜勤になったため、再婚した夫と一緒にリンコさんに頼まれてトモちゃんを夜ご飯に連れて行く場面。誰よりもリンコさんの味方でした。部屋も、男の子には見えないフリルのクッションやシーツを揃えてあげて、体育教師に呼び出されようとも自分の子供を第一に、という軸がぶれない。

トモちゃんに対して「おっぱい大きくなった?」と冗談交じりに聞きつつも、「想像してみて、自分は女だと思ってるのに一向に膨らんでこない真っ平らな胸を見る気持ち」「あの子の初めての胸を作ったのはアタシなの」「私の娘を傷つけるやつは、たとえ子供でも容赦しない」そう言ってリンコへの想いを話します。

彼女は、リンコさんが「おっぱいが欲しい」と泣いたとき、抱きしめて慰め、後日ブラジャーと一緒に毛糸で編んだ偽物の胸をプレゼントしました。このシーンが泣ける、本当に泣ける。「本物はまだあげらんないからさ~!とりあえず偽乳w 着けてみて。」って、嬉しそうにしている2人。

実に奔放で、けれどきっと、こんなにも理解のある親なんてそんなにいない。後のシーンで、リンコさんとマキオ、トモちゃん、フミコさん、旦那さんで鍋を囲むところがありますが、フミコさんの「あんた(リンコ)、本当に強運な女よね~」「普通理解しろって言っても無理な話よ?」という台詞には納得です。

そんな中、先に出てきた同性愛者の同級生カイくんと、その母ナオミにスーパーで出くわすトモちゃんとリンコさん。リンコさんがいない隙に、ナオミは「トモちゃんの味方だからね」と言いつつも、リンコさんを軽蔑するような言葉を投げかけます。怒ったトモちゃんはその場で手に持っていた洗剤をナオミに浴びせてしまい、大事に。

家に帰ったトモちゃんはリンコさんに「ごめんなさい」というと、「私に謝れて、なんであのおばさんに謝れないの?」と訊きます。リンコは何となく察しがついていました。今までの経験もあったのかもしれない、というか確実にそう。そんな時の乗り越え方を、リンコさんは編み物をしながら言うのです。「これですっげー悔しかったこととか、むかついたこととか想いながら編んで、怒りが通りすぎるのを待つの。」

リンコさんがひたすら編んでいるものは「男根」だそうですwww108個作ったら燃やして、戸籍も女にする。それがリンコさんの目標?夢?自分で決めた一つの区切りのような。ちょっとばかばかしくて笑えるけど、でもばかにできない素敵な夢。

それを見てトモちゃんは「私もやってみたい」と言います。リンコさんがトモちゃんに編み物を教える姿は、完全に母娘の様でした。私も昔やったなあ、と。

ある日リンコさんは「私、トモのことが可愛くてしょうがない。」「このままトモのお母さんが戻ってこなかったら、トモを養子に出来ないかな」「戸籍を女にして、マキオと結婚したら、トモのママになれるのかな」そう言います。出逢った時から、ずっと。リンコさんのトモちゃんへの愛しさは、本当の本当に母親の様でした。

けど現実って小説より奇なり(いやこれフィクションだけど)、トモちゃんはお母さんらしき人を街中で見かけてしまいます。追いかけるけれど、もちろん家には帰ってなくて。タンスの引き出しからお母さんの服を出して、抱きしめて泣くのです。

遅くなってマキオの家に帰ったものだから、マキオもリンコさんも待っていました。どこに行っていたのか、心配したんだよ!と怒るリンコにトモは言います。

「ママでもないくせに」

いつからだろう、トモちゃんの中でリンコさんが完全に女になったのは。この一言には、もう色んな感情や背景が含まれている気がするのです。うまく言えないけど。

それから紆余曲折あって(観てない人は観て!!!笑)、リンコさんと仲直りしてこれからだというときに、トモのママが帰ってきます。そして、トモを引き取りたい、母親になりたいというリンコに、ママは声を荒げてこういいました。

「じゃああんた、この子が生理になった時どうすればいいのか教えてあげられるの!?初めてブラジャーを買うとき、教えてあげられるの!?」

至極正当な意見だけれど、きっとリンコさんにとって一番刺さる言葉たち。そんなママに、トモちゃんは泣きながら殴りかかります。

「リンコさんはご飯作ってくれた、キャラ弁も作ってくれた。髪も乾かして結んでくれた、一緒に寝てくれた。なんでママはしてくれないの?」

母親とは、娘に女性のあり方を教える存在ではないと思うのです…とはいえ私も母になったわけでもないし、ましてや娘なんていないので、これは机上の空論でしかないかもしれないんだけど。親というものは、躾や知識を与える以上に子供に愛を注ぐものじゃないのかなあ、と。仕事で大変なのも、家事で大変なのも、そんなの子供はみんなわかっているわけですよ。ただ、大変であるを理由に子供への愛をないがしろにしていいかというとそれは違うと…うーん、言いたいことがうまくまとまらないけど。

これは持論ですが、ママが男と何度も出ていくことをマキオが責めると「私だって女なの!」と言いましたが、女性という生き物は、子供が生まれた瞬間から女ではなく母親でしかないと思います。

子供って、女性にとっての一生の覚悟だと思うから。かなり言葉を選ばずに言ってしまえば、死ぬまで付きまとうものだから。「母である前に女」なんて、存在しないと思ってる。母親は何が在っても子供のために生きなければと思うのです。

リンコさんは、自然な流れでは(?)母親になれない。だからこそ母になれたのに、そのチャンスを手放してまで女であろうとしたトモのママは許せなかったんじゃないかなあ。

結局トモはママを選んで、出で行く日の夜にトモとリンコさんは抱き合って泣きながら眠ります。眠れなくなったリンコさん、1人編み物を朝まで続けてトモにお土産を渡します。

編んでいるシーンの段階では、勝手にマフラーか何かと思っていました。マキオとトモママの母の影響で、トモママはトモちゃんに毛糸の物を買い与えたことがないという話が出てきたので、最後に作ってあげてるのかと。

家に帰ってきたトモは、リンコさんからのプレゼントを開けます。中に入ってるのはなんと、毛糸で出来た編んだ偽乳wwwwwwww そこでこの映画は終わります。

このオチが、個人的には最高で。笑えるんだけど、ちょっと泣ける。

確かにトモママが言うように、リンコさんには当たり前の母親としての女の生き方みたいなのを、トモには教えてあげられないかもしれないけど。かつて自分がしてもらったように偽乳を編むことができるんです。リンコさんは本当に素晴らしい女性だと思う。

 

本当にいい映画だった、是非たくさんの人に見てほしい。ここに書ききれないくすっとくるネタもたくさんなので、興味がある方は観てみてください。

 

読んでくださりありがとうございました。