溺愛パンデミック

奇跡が消えないように 僕等が生きた証を ここに記そう

不思議の国のジャニーズWEST~後編~

★はじめに…
このおはなしは、ジャニーズWEST不思議の国のアリスの世界に入ったらどの配役を得てどんな出来事が起こるかを妄想しただけの「アリス・パロディ」作品になっております。
苦手な方はそっとブラウザを閉じる事をお勧めいたします。

前編はこちら→不思議の国のジャニーズWEST~前編~ - 溺愛パンデミック








お家の前にはテーブルが出ていました。そして七月うさぎと帽子屋さんがそこでお茶をしています。テーブルはとても大きいのに、二人はそのかどっこ一つにかたまっていました。
「満員、満員!」
と大毅がきたのを見て、みんなさけびました。
「どこがやねん!めっちゃ空いてるやんけ!」
と大毅は怒って、そしてテーブルの端のおっきなひじかけつきの椅子に座りました。
「ワインはいかが?」
と、七月うさぎは親切そうに言います。
「いやお前まだ未成年やろ。」
大毅はテーブル中を見渡しましたがそこにはお茶しかありません。
「ワインないやんけ!」
「せやで。」
「何で勧めたんや、失礼な」
「ボケたらツッコんでくれるから!」
と、七月うさぎ。
「髪の毛、切った方が良いよ。」
帽子屋さんは大毅をすごくいじりたそうに、ずいぶんながいことジロジロ見ていたのですが、はじめて言ったのがこれでした。
「照史くん、その台詞俺に言うやつちゃうで、オスカーや。」
大毅は七月うさぎを指さします。
「俺かー…」
「髪を切った方が良いって言われない?」
「言われない」
すると大毅は
「人の事あんまとやかく言うたらあかんねんで、"ぶさほう"やで」
と言いました。帽子屋さんはこれをきいて「お前が言わしたんやないか」という顔をしましたが、(話が進まなくなるので)言ったのはこれだけでした。
「今日って何日?」
大毅はちょっと考えてから言いました。
「四日。」
「二日も狂ってる!」
と、帽子屋さんは溜息をつきました。そして怒って、七月うさぎを睨み付けます。
「だからバターはあかんって言うたのに」
「油やからいけるかなって思ってんwwwwww」
「めっちゃ笑うやん…」
大毅は気になって聞いてみました。
「二人ともいっつもこんなことしてるん?暇なん?」
「俺ぐらい時間と仲良いと、暇なんて言わんな。」
「アカン、桐山がおかしくなった」
「話の流れ上、仕方ないから聞いてくれるかな?」
帽子屋さんは台本を見せて大毅に言いました。
「たとえば、朝の9時で、ちょうど授業の始まる時間やろ。でもそこで時間にちょいと耳うちすれば、いっしゅんで時間が戻るねん!さあ午後一時半、ばんごはんの時間やで!」
(「晩御飯早すぎやろ、ほんま飯の事ばっか考えて…」と七月うさぎが呟いた。)
「確かにそうやけど、俺いつもまだお腹すいてないで?」
と、大毅は考え深げにいいました。
「慣れるって。いつまでも一時半にしとけるんやから。」
と、帽子屋さんが言いました。
「そんなことして暮らしてるん?」
大毅が問うと、帽子屋さんは悲しそうに首を振ります。
「ちゃうねん。俺と時間は、こないだの三月に口論してさぁハートの女王様がやった大コンサートがあって、俺も歌うことになったんや。」
*******
「X'masなんていらないくらい 日々が愛のかたまり
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「知ってるやろ?この歌。」
「まあ先輩の歌やからな。」
「それで俺が歌の一番もうたいおわらないうちに、女王様がとびあがって、ぎゃあすか言うねん、『俺の大事にとってあったプリン食べたん誰やねん!』って」
「え、これ今何の話?時間返して。」
大毅は思わず白目になります。我慢できずに立ち上がり、歩き去っていきました。二人は大毅が去っていくのを気にする様子はなく、大毅は気になって一、二度振り返ってみましたが、最後に振り返ったとき二人は何かよくわからないけどきゃっきゃと笑っていたので、何となく満足して立ち去りました。
「あと淳太くんだけやなあ。」
大毅が森の中を歩きながらそう言った時、木の一つに中に入るとびらがついているのに気がつきました。
「え、なんなんこれ。でも今日って、なにもかも変やもんな。だからこれも入っちゃおう!」
そしてノリで入ってみました。
きがつくと、大毅はまたもや最初のあのながい廊下にいて、近くにはあのテーブルもあります。
「リベンジできるんやな。今度こそ女王様ルート開くわ。」
とつぶやいて、まずは小さな金色の鍵をとって、とびらの鍵をあけました。それからキノコをかじりだして(かけらをポケットに入れてあった用意周到な男)、身長を30センチくらいにしました。それから小さな通路を歩いてぬけます。そしてついにきれいなお庭にやってきて、まばゆい花壇や冷たい噴水のあいだを歩いているのでした。

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庭の入口には大きな薔薇の木が立っていました。そこに咲いているバラは白でしたが、そこに庭師が三人いて、それを必死で黄色に塗っていました。大毅は、これはずいぶん変わったことをしてい ると思って、もっとよく見ようと近くによってみました。ちょうど近くにきたら、一人がこう言ってるところでした。
「ちょ、五、気をつけて!俺も黄色になるやん!」
「しゃあないやん!」
と、五はきつい口ぶりで言いました。
「七が押してくんねん」
すると七が顔をあげていいました。
「そうそうその調子、前フリってこうやってやんねん」
「何の話やねん!」
と五。
「女王様がつい昨日も、おまえの首ちょん切らなって言ってたで!
「なんで?」
と最初にしゃべったのが言います。
「二!お前には関係ない!」
と七。
「大ありや!」
と五。
「コックに、タマネギとまちがってチューリップの球根をもってったからやろ」
七はペンキのはけをふりおろして、ちょうど
「そんなことするの紫耀ぐらいやろ――」
と言いかけたところで、たまたま大毅が目に入りいましたので、いきなり身をとりつくろっています。ほかの二人も見まわして、みんな深々とおじぎをしました。
 「ちょっとうかがいますけど」
と大毅は、恐々きいてみました。
「なぜその薔薇にペンキをぬってるんですかあ?」
五と七は何も言わずに、二のほうを見ます。二は、小さな声でこう切り出しました。
「ええ、なぜかといいますとですね、重岡くん、ここにあるのは、ほんとは黄色いの木のはずだったんですけど、僕たちがまちがえて白いのを植えちゃったんですよ。それを女王様が見つけたら、みーんな首をちょん切られちゃうんです。なので重岡くん、僕たちせいいっぱい、女王様がおいでになるまえに――」
このとき、お庭のむこうを心配そうに見ていた五が声をあげました。
「女王様だ! 女王様だ!」
そして庭師三名は、すぐに顔を下にはいつくばってしまいました。足音がたくさんきこえて、大毅は女王様が見たかったので振り向きました。
行列には最初に見た白うさぎと、いもむしと、チェシャ猫と、七月うさぎと、帽子屋さんがいて、行列の最後にハートの女王様がやってまいりました。
「そこの男、名前は。」
「え、ちょっと待って。」
大毅は首を傾げます。
不思議の国のアリスってさあ、この後クロケー大会とか偽ウミガメとかあって、最後に公爵夫人の裁判とかあってそこでみんな揃って終わるんちゃう?まだ話全然残ってるやろ。なんでみんな揃ってんねん。」
「どう考えても人手不足や。関西ジュニアまで引っ張り出したのに。」
庭師三名の顔をあげさせると、ハートの女王様は
「ごめんなあ、ありがとう。」
といいました。
「ええ、じゃあクロケー大会で俺が淳太をぼっこぼこに負かすって夢は!?
「なんでそんな夢抱いてんねん!」
続いて七月うさぎもはしゃぎます。
「偽ウミガメの兼ね役が淳太で、グリフォンの兼ね役が俺でシゲと一緒に海に突き落とすって段取りは!?」
「無いわそんなもん!」
そうしてぎゃあぎゃあ騒いでいると、ハートの女王様は突然鞭を取り出しました。
「やばい淳太くん怒った」
「ちがう、演出!!みんな、時間や。コンサートが始まる。」
女王様が指を鳴らすと、全員の衣装が急にコンサート仕様になりました。大毅がびっくりしていると、いもむしが言いました。
「盛り上がれんのかー!?!?」
すると、いつの間にか周りを囲んでいたトランプの兵士までも一緒に叫びました。
「俺ら次第やー!!!!!」
その瞬間、金のトランプのようなものがヒラヒラと舞って、大毅の上に舞ってきて、それを笑顔で取ろうとジャンプしていると、気が付けば大毅は楽屋のソファーの上でした。
「起きろシゲ。お前寝言ヤバかったぞ…」
「え?女王様?」
「誰が女王様や。鞭使うの上手いだけや。」
「ちょ、すごい夢見てん!!!聞いて!!!」
と大毅は言って、大毅がこれまでに見てきたこの不思議な冒険を、思い出せる限り話してあげたのでした。そして大毅の話がおわると、淳太くんは大毅をなだめて言いました。
「それはめっちゃ面白い夢やけど、でももう出番近いから支度せな。」
そこで大毅は立ちあがってかけだし、メイクルームまで走りながらも、なんてすてきな夢だったんだろう、と心から思うのでした。
で も淳太くんは、大毅がいってしまってからも、じっと座ってほおづえをつきながら大毅とそのすばらしい冒険のことを考えておりました。淳太くんは想像してみました。このジャニーズWESTが、いずれ立派なアイドルに育つところを。そして大きくなってからも、ジュニア時代の向上心を忘れずにいるところを。そして、沢山のファンをまわりに集め、数々の面白いお話でその子たちの目を、いきいきと輝かせるところを。そのお話には、ずっとむかしの不思議の国の夢だって入っているかもしれません。そして素朴なかなしみをわかちあい、素朴なよろこびをいつくしみ、今までの経験も、そしてこの幸せな日々も、忘れずにいるところを。



おしまい

参考:Alice's Adventures in Wonderland: Japanese





★後記(筆者の言い訳)
えー、見切り発車だったため原作を読みながら書く作業を行った所、こんなにも登場人物が多いと思わず適当に終わらせたこと、というか正直後編の書き出しから適当だったことをここに深く反省致します。前編を沢山の方々にご覧いただき恐縮ですが後編がこんな感じでごめんなさい。苦情等はどうかお手柔らかにコメントまたはTwitterの方まで。ありがとうございました。